ペットツーリズムは”二回目”から本物になる──新幹線わんわんエクスプレスが照らす未来

2025年3月9日に第一回が運行された「新幹線わんわんエクスプレス」。それから1年余り、2026年6月20日・21日に第二回が走ります。この”二回目”が、日本のペットツーリズム市場にとって持つ意味を、業界の視点から考えます。

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日本のペットツーリズム市場の現在地

国内のペット飼育頭数は約1,500万頭(犬・猫合計)。一方で、ペット同伴で移動できる長距離公共交通機関は限定的です。飼い主アンケートでは「愛犬と旅行したい」という声が7割を超える一方、実際に実行できているのは2割程度にとどまります。

市場の課題は、「移動」「宿泊」「現地で楽しめる場所」── この3点の供給不足です。需要があっても、商品設計が追いついていないのが日本のペットツーリズム市場の現在地です。

第一回が示したこと

2025年3月9日、東京駅から新大阪駅までを貸切新幹線が走りました。ケージから出して座席に愛犬を乗せる、日本ではじめての試み。60年続いた東海道新幹線の歴史で、初の本格的ペット同伴運行でした。

結果は、定員以上の応募、SNSでの拡散、各種メディアの取材。残ったのは「一度はできた」という事実と、「次があるのか」という問いでした。

第一回が大切にしたのは、走らせる事実だけではありませんでした。光触媒技術を用いたアレルゲン除去、車内臭気レベルの計測といった実証実験、そして「ペットが苦手な方々にも受け入れていただけるためには何が必要か」という社会的受容の検証にも、真剣に向き合いました。この積み重ねが、第二回を実現するための条件を整えました。

二回目の意味──”記憶”を”選択肢”に変える

一度のイベントは、参加した人の記憶として残ります。二度繰り返されるイベントは、人の生活の選択肢として認識されるようになります。「来年もある」「次がある」と思える瞬間に、人の行動が変わります。

日本のペットツーリズム市場で起きるべき変化は、まさにここです。一度きりの社会実証ではなく、繰り返し走る運行があってこそ、人は「愛犬と一緒に旅する」を生活の選択肢として考え始めます。

海外との比較──差は”文化”ではなく”商品設計”

ヨーロッパでは、長距離鉄道のペット同伴が日常です。フランスのTGVは犬一頭€7で同伴可。ドイツの長距離鉄道も同伴運行が当たり前。アメリカ・カナダでもペット可ホテル・航空便は珍しくありません。

日本との差は「文化」ではなく「商品設計の有無」です。日本にも需要はある。それを商品にする側の設計が、これまで追いついていなかっただけです。第一回がそれを証明し、第二回がその商品設計を社会に流通させようとしています。

ソプラ銀座が見る、ペットツーリズムの次のステップ

ソプラ銀座は、第一回・第二回ともに運行の主体として参画してきた立場から、ペットツーリズム市場の次のステップを3つの軸で整理しています。

一つ目は、今回の知見を他路線・他社にも横展開できる形に整理すること。二つ目は、犬の幼稚園で培った社会化トレーニングを、移動に対応した形に発展させること。三つ目は、代表自身が6カ国で経験した海外駐在のノウハウを、輸入ではなく日本式の共生社会づくりに接続することです。

「ペットツーリズムは、需要がないからできていないのではありません。商品設計が追いついていないだけです。第一回がそれを証明し、第二回がその商品設計を社会に流通させる。私たちが期待しているのは、ここから他社・他路線への波及です。」

ソプラ銀座 代表取締役 須田哲崇

まとめ

第一回わんわんエクスプレスは、日本ではじめて「犬を新幹線の座席に乗せる」を実現しました。第二回は、その実証を「旅行商品」として流通する形にする段階。日本のペットツーリズム市場が本物になるのは、二回目以降の運行が定例化していくときに始まります。

ソプラ銀座は、犬の幼稚園を中核とした社会化教育の知見、第一回からの運行設計の経験、6カ国の海外事業ノウハウを、この市場形成に提供していきます。

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